海外裁判所見学記

2014年11月19日 水曜日

アメリカ ワシントンの連邦最高裁判所等(2013年)

【アメリカ連邦最高裁判所】
平成24年8月10日に、ワシントンのアメリカ連邦最高裁判所を訪れました。
連邦最高裁判所の建物は、写真1のパンフレットに掲載されているとおり、ギリシャ神殿を思わせる大理石作りの堂々としたものでした。ワシントンは、ホワイトハウスを見ればわかるように、場所により白色以外の建物は認められていないとのことでした。

連邦最高裁判所の見学自体は、誰でも問題なく認められます。当時は建物が修理中のためか、正面脇からの入場でした。荷物の検査があることは東京地方裁判所と同じです。カメラは、預ける必要はありませんでした。

当日は多くの観光客がいましたが、これを1グループ15、6名程度に分け、1グループ毎に職員がつき、裁判所内を案内し、説明してくれるのは、さすがアメリカだと思いました。日本の最高裁判所は、このように多くの観光客が訪れることはありませんので、このような親切なサービスはありません。私達のグループには、若い美人の女性職員がつきました。

連邦最高裁判所の内部は、写真1のパンフレットの見取り図を見ると分かるように、1階と2階が見学できます(建物自体は5階建のようです。)。建物の1階にあるシアターでは、ビデオで連邦最高裁判所の歴史を放映していました。ここで、連邦最高裁判所の概要を知った上で、法廷での説明を受ける手順のようです。最近、任命された女性裁判官エレナ・ケーガン氏の紹介もありました。

2階に上がると、星条旗が飾られ、深紅のカーテンがかかった重厚な大法廷があります。時期的に法廷は開かれていませんでしたが、女性職員が、私達のグループを相手に、連邦最高裁判所について熱心に説明してくれました。資料などを観光客に配布しながら、20分くらい説明してくれます。英語がもっと理解できればと感じる瞬間です。


 
ところで、連邦最高裁判所の裁判官は、終身制で、定年はないそうです。これは憲法で定められているとのことでした。そのためでしょうか、現在の連邦最高裁判所の裁判官には、70歳以上の高齢の方もいるようです。これに対して、日本では、最高裁判所の裁判官は、定年が70歳と裁判所法で定められています。アメリカの場合、憲法で終身制と定められているのは、歴史的背景があるのかもしれませんが、退職すべき時期は自分で判断すべきというのが、いかにもアメリカらしい気がしました。大法廷の手前には、グレートホールがあり、壁には歴代の裁判官の肖像画が掛けられていました。歴代の裁判官の像もありましたが、不勉強のため、数名の著名な裁判官以外は、まったく知らない人でした。

法廷見学を終えて、1階に降りてくると、カフェテリアや土産物店が目に入ります。イギリスの裁判所も同様でしたが、アメリカの連邦最高裁判所も、売店で、お土産品を販売するなど、商魂逞しいところがあります。連邦最高裁判所も観光地の一つという感じですが、日本の最高裁判所では考えられないことです。カフェテリアは、残念ながら時間の関係で味見はできませんでしたが、ちょっと覗いた感じでは、東京地方裁判所の食堂のアメリカ版か、もっとシンプルな感じで、それほど関心を引くものではありませんでした。

館外に出ると、再び、強烈な暑さにおそわれます。今年だけか、毎年そうなのか、ワシントンの8月は大変な暑さでした。

【ニューヨーク州のSUPREME COURT】
ニューヨークの地下鉄シティ・ホール駅の階段を上がり、地上に出ると、ニューヨーク市庁舎が目に入ります。平成24年8月16日、これを横手に見て、ニューヨーク州のSUPREME COURTを訪れました。

ワシントンの連邦最高裁判所と同様に、こちらの裁判所も、写真2のように大理石の柱が立ち並ぶ神殿のような作りで、権威を感じさせる建物でした。ガイドさんの説明では、この裁判所は、よく映画にも登場するようで、そういえば何となく見たような気もします。

入り口では、荷物だけでなく、カメラも預ける必要があります。そこで、傍聴するのに適当な法廷を教えてもらい、建物の中に入りました。外観と異なり、建物内部は、極めて実務的というか、連邦最高裁判所のように装飾が素晴らしいといった造りではありませんが、雰囲気は、いかにも裁判所という感じがします。若干古めのエレベーターで、教えてもらった法廷に向かいました。

法廷のドアをそっと開けて中に入り、傍聴席に腰を下ろします。女性の裁判官が1人と、その他、職員2、3名がバーの向う正面にいて、右側は陪審員席でした。10名程度はいたと思います。

私たちが傍聴した事件は、産婦人科医の医療過誤の民事事件でした。出産時のミスで新生児に障害が残ったという事件で、証人尋問が行われていました。代理人の弁護士がしている質問の内容は理解できませんでしたが、かなり、丁寧に、きめ細かい尋問を重ねていたことは分かりました。民事事件でも陪審員がいるのかと一瞬思ったのですが、アメリカでは、刑事事件だけでなく、民事事件でも陪審員裁判があるようです。

法廷の雰囲気は、事件の性格から、重苦しい感じがします。陪審員も、あくびをしている人はいませんでした。これまで海外の法廷を傍聴した経験では、あくびをしている陪審員は、結構います。オーストラリアの法廷傍聴をしたときもいましたし、そんなにめずらしいことではありません。

傍聴して、印象に残ったことは、州のSUPREME COURTでも証人尋問を行っていたということです。これは、日本法のみしか知らない者にとっては驚きでしたが、アメリカ法に精通している人にとっては、不思議なことではないのかもしれません。念のために、入り口のところで、ここは州のSUPREME COURTなのかと確認しましたが、そのとおりとの回答でした。

SUPREME COURT=最高裁判所との理解であったので、最高裁判所で証人尋問を行っていたことが不思議でした(日本の最高裁判所では証人尋問は行われません。)。そこで、日本に戻り、ネットで調べてみたところ、答えとおぼしき記事を発見しました。日向清人氏のビジネス英語雑記帳の2005年12月3日付の記事です。「NY州のSUPREME COURT は最高裁に非ず」と掲載されていました。詳細は、記事を参照して頂きたいのですが、要するに、NY州のSUPREME COURT は第1審裁判所に過ぎないということでした。これで納得できた気分でした。

【マサチューセッツ工科大学】
平成24年8月13日、ボストン郊外のケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学(MIT)を見学しました。日本からの留学生に、2時間ほどキャンパス内を案内して頂きました。まだ若い方ですが、短時間ご一緒しただけでも、非常に優秀な方であることがよくわかります。しかも、少しも偉ぶるところがなく、真摯に研究に取り組んでいらっしゃる様子に感銘を受けました。

工科大学といわれているので、理科系の大学と思っていましたが、文化系の学部のみならず、音楽学部まであることは驚きでした。広々とした芝生の前庭やドーム型の建物といい、キャンパスのすぐ近くを川が流れている立地といい、環境的にも申し分ありません。また、キャンパス内には、診療室のみならず保育所まであり、職員や学生が利用しているとのことでした。

この大学の伝統として、洒落っ気のある、大がかりないたずらを行うということがあり、以前には、ドーム状の校舎の上に、車を引き上げて展示するということまでやったそうです。構内にその車が展示されていました。車をパーツに分解して、それを建物の屋上で組み立てたそうですが、何とも奇抜ないたずらを思いつくものだと感心しました。

工科大学というだけあって、構内には世界で最初に作られたコンピューターが陳列されており、理科系の施設が充実しています。この大学の特徴として、ノーベル賞受賞者を多く輩出しており、日本の利根川進教授の写真パネルが入口に飾られた立派な研究所もありました。パラリンピックで使用された義足を研究したり、感覚でコンピューターを操作する最先端の技術を研究するなど、多くの興味深い研究も行われていました。

学部ごとに建物の雰囲気や立派さが違うのも面白いところです。最先端の科学を研究する学部には、企業から多額の寄付が集まるので、建物も非常に立派ですが、例えば、数学科のようなところは、寄付が集まらないようで、建物も古びた感じでした。

最後にビジネススクールのカフェテリアでティータイムを取りましたが、ビュッフェスタイルで好きな料理を選べるようになっており、野菜料理も多く、思ったよりヘルシーな内容でした。カフェテリア内は、世界各国から留学生が集まり、三々五々とグループを作って、談笑しながら食事をしています。ここで学ぶ機会を持つことで、世界中にさまざまな人脈を築くことができるのだろうと思うと、うらやましい限りです。

【ハーバード大学】
翌日はハーバード大学を見学しました。ハーバード大学のキャンパスと、MITのキャンパスは、思ったよりずっと近いところにあります。ハーバードの町自体が、ひとつの観光地であり、多くの人で、ごった返していました。

ハーバード大学は夏休みですが、見学者が大勢来ています。特に、中国と韓国の子供達が集団で見学に訪れており、赤や黄色のTシャツを着た子供達の集団が、キャンパス内に、あふれかえっていました。中国と韓国からの留学生が年々増加し、日本のからの留学生が減少しているという報道を何度も目にしていましたが、事実なのだろうと実感しました。小学生か中学生の頃から、ハーバード大学を見学していれば、いずれ自分もハーバード大学に進学、留学しようという動機付けがされるだろうと思います。

ハーバード大学は、私学ですが、いかにも裕福そうに見えました。図書館はタイタニック号に乗船して亡くなった息子を偲ぶために老婦人が寄付したお金で建てられたそうで、毎年、巨額の寄付金が集まるようでした。

日本でも話題となったサンデル教授が授業をしているという大教室は、工事中のため中には入れませんでしたが、外から見学しました。かなりの大きさです。人気のある先生だけに、相当数の学生を集めるようです。

また、商売も上手そうです。構外にある生協のようなショップで、ハーバードブランドの商品がたくさん売られています。そして、よく売れています。

ハーバード大学の雰囲気からすると、学生として生活するのには、相当のお金がかかりそうです。ただし、キャンパス内にある学生寮を見学したところ、非常に狭く、机とベッドくらいの簡素な部屋でした。学生寮ごとにかなり設備は異なるそうですが、学生寮で生活するのであれば、(学費は別として)生活費はかなり抑えられるのかもしれません。

ハーバード大学でもうひとつ見学したかったところにハーバード・ロースクールがありました。ハーバード・ロースクールは、大学から少し離れたところにあり、最近、新築されたような綺麗な建物です。1階部分のみ入ることができました。ロースクールは、きっとハーバード大学の稼ぎ頭なのではないかと思うほどに豪華な造りでした。講義室がいくつか並んでおり、講義室の外の廊下の壁には、ロースクールの教授の大きな写真パネルがずらっと並べて飾られ、担当する科目が書かれていました。いずれも一流のプロカメラマンが撮影したことが一目でわかる、いかにも名門大学の教授らしい颯爽とした写真です。アメリカ連邦最高裁判所のビデオで見たエレナ・ケーガン氏の写真パネルも飾られていました。また、CASPERSEN STUDENT CENTERというホテルのラウンジのような立派な調度品を備えた部屋もありました。

ちょうど夏休みであるためか、授業の様子などを見学することができず、残念でした。大学は、建物よりも研究や学問が重視される場所ですが、このように環境も整い、学問的にも最先端のところで、一度は勉強してみたかったと思いました。

投稿者 ソフィア法律事務所