海外裁判所見学記

2015年11月16日 月曜日

アメリカ西海岸の法律事務所・裁判所等(2014年)

<法律事務所訪問>
1.モルガン・ルイス法律事務所訪問
 平成26年8月11日、サンフランシスコにあるモルガン・ルイス法律事務所にカーラ弁護士を訪ねました。カーラ弁護士とは面識はありませんでしたが、TMI法律事務所の長坂弁護士を通じてオフィス訪問をお願いし、了解を得ていました。TMI法律事務所がシリコンバレーに支店を出すという日経の新聞記事を見て、図々しくも、弁護士会で同じ派閥であるというだけのご縁を頼りに、長坂先生にシリコンバレー支店の見学をお願いしたところ、快諾していただきました。併せて、サンフランシスコのローファームも見学したいとの要望についても、ご親切に対応していただき、本当に感謝しています。 
 モルガン・ルイス法律事務所は、アメリカ、ヨーロッパ、中近東、アジア等の28ヶ所(2015年現在)にオフィスを有するグローバルなローファームです。サンフランシスコのオフィスに所属する弁護士数は100名以上とのことでした。ビル1階の受付でパスポートチェックを受ける必要があり、セキュリティは厳重でした。
 カーラ弁護士は、ウィスコンシン州出身の女性弁護士で、ご専門は知的財産権です。日本の弁護士とも一緒に仕事をすることがあるとのことで、しばしば東京にも行かれているそうです。手土産にお香を差し上げたところ、大変喜んで下さいました。カーラ弁護士とは初対面でしたが、気さくな方で、受付や会議室のほか、空室となっている執務室まで見せていただきました。サンフランシスコのオフィスは、フィシャーマンズワーフ近くの高層ビルの25~28階にあり、案内された会議室からの景観は、素晴らしいものでした。会議室の大きな窓一面にサンフランシスコ湾が広がり、ゴールデンゲートブリッジやアルカトラズ島まで見渡せる景観は、おそらくサンフランシスコ市内でも有数のものと思われます。
 ただ、この景観を別とすれば、オフィスの受付や会議室の内装は比較的シンプルで、日本の(数百名以上の)大手法律事務所の方がずっと豪華なように感じました。河野は、約25年前のいわゆるバブル時代に、西海岸のローファームを見学したことがありますが、当時、日本の司法試験の合格者は毎年500名程度(現在は2000名程度)でしたので、日本の法律事務所は最も大きいところでも所属弁護士が数十名だったように記憶しています。当時、初めて見るアメリカのローファームは、規模、豪華さ、弁護士の執務環境のいずれをとっても日本の法律事務所とは比較にならない素晴らしさで、圧倒される思いでした。今回は、ロサンゼルスのローファームも見学しましたが、当時と比べると、少なくとも設備面では、現在の日本の大手法律事務所は、全く見劣りしないように思います。また、25年前のアメリカ西海岸のローファームは、弁護士1名に秘書1名が配置されていたように記憶していますが、現在は、IT化が進んだためか(加えて、ローファーム間の価格競争が厳しく、コスト削減の必要があるのかもしれませんが)、弁護士3、4名に秘書1名程度の配置であり、秘書席も当時のような賑わいはありませんでした。
 カーラ弁護士からは、日本と同様にアメリカでも弁護士が就職難であること、カルフォルニア州は、1年で2万人が司法試験に合格することなども伺いました。英語ができないために、ごく簡単なやり取りしかできませんでしたが、日本がアメリカの後追いをしていることは確かなようです。モルガン・ルイス法律事務所のようなローファームに採用されるのは、ごく一握りのエリートであり、ローファーム内でもパートナーになるための熾烈な競争があることでしょう。25年前と現在の日本の法律事務所を取り巻く環境の激変を改めて強く感じたローファーム訪問となりました。

2.TMI法律事務所シリコンバレーオフィス訪問
 TMI法律事務所シリコンバレーオフィスは、シリコンバレーにあるパロアルトという町のメインストリートから、一歩入った低層ビルの2階にあり、日本の会社では、TMI法律事務所以外に、住友系の会社等2社が入居していました。パロアルトは、スタンフォード大学に隣接した緑豊かな美しい街です。こんな街だったら喜んで赴任したいと思うことでしょう。TMI法律事務所シリコンバレーオフィスを実際に拝見し、とても良い立地を選択したうえで、無駄がない形で支店を運営されていることを知り、なるほどと納得しました。
 シリコンバレーオフィスでは、赴任したばかりの小渋高弘弁理士からお話を伺いました。小澁先生とは初対面であるにも関わらず、オフィス訪問後、近くのギリシャレストランで、美味しい料理とカリフォルニアワインのランチをご一緒しながら、暖かくもてなしていただきました。小澁先生は、今まで知っている弁理士のイメージを覆すような、非常にアグレッシブで、まるでベンチャー企業の経営者のような雰囲気をお持ちの方です。小澁先生は、カリフォルニアの法律業務、日本の法律事務所が果たすことができる仕事の内容と展望などを熱く語られ、私たちは小渋先生のエネルギッシュな生き方に感心し、とても楽しく有意義な時間を過ごすことができました。

3.ロサンゼルスのピルズベリー法律事務所訪問
 帰国直前の8月20日に、ロサンゼルスのダウンタウンにあるピルズベリー法律事務所に木本泰介弁護士を訪ねました。木本弁護士は、弁護士会の派閥が一緒の岩永先生、町田弁護士からご紹介を受けました。木本弁護士は、外見は渉外弁護士のイメージそのままのとてもスマートな方ですが、日本の大手法律事務所で5年間執務した後、留学してカルフォルニアの弁護士資格を取得され、以来、日本及びカルフォルニアの両資格を有する弁護士として約7年間もロサンゼルスで活躍されていると伺っていますので、優秀なだけでなく、心身ともにタフで、非常な努力家でもあるのだろうと思います。木本先生にも、初対面であるにも関わらず、大変親切にご対応いただき、事務所見学後、裁判所見学やランチもご一緒していただくなど、本当にお世話になりました。
 ピルズベリー法律事務所も、世界中に18ヶ所(2015年現在)のオフィスを有するグローバルなローファームです。オフィスは、高層ビルの28階にあり、オフィス内の内装は、モルガン・ルイス法律事務所と似ていました。木本弁護士にオフィス内を案内していただきましたが、パートナーとなると、角部屋の見晴らしの良い個室も割り当ててもらえるようです。また、ビリヤード台もあるなど休憩室が充実していたのは、羨ましい限りです。

 

 ロサンゼルスはビルの建設ラッシュのようで、工事現場が幾つもありました。木本弁護士の話では、ピルズベリー法律事務所の入っているビルよりももっと高いビルがいくつか建つ計画があるそうです。ピルズベリー法律事務所の入っているビルの正面入口付近に面白いオブジェがありました。頭が壁にめり込んで、体全体が前のめりになっている男のオブジェです。説明文には社蓄になろうという意味のことが書かれていました。なぜ、この場に、このようなオブジェがあるのかは、説明文が理解できませんでしたが・・・。


<カリフォルニア州ロサンゼルス郡裁判所見学>
 オフィス訪問後、木本先生にご案内いただき、カリフォルニア州ロサンゼルス郡裁判所の傍聴に行きました。木本先生のご友人で、UCLAのロースクールに留学している木佐弁護士にも同行していただきました。法廷の外に掲示してある裁判の予定表を見ると、日本の裁判所より裁判開始の時刻は早いようでした。
 いくつか裁判を傍聴しましたが、印象に残った裁判は、保険金請求に関する裁判でした。まさに弁論が行われていましたが、裁判官が一方的に長々と話し、それに弁護士が応答するやり取りが、何回も続くという感じでした。裁判官がしゃべりまくるという点で、日本の弁論と様子が違うのには驚きました。特に、裁判官が弁護士に対し、保険法のある条項に関して「あなたの法解釈は間違っている」と指摘したのに対して、弁護士も臆することなく、「間違っていない。裁判所の解釈の方がおかしい。」と反論したところでは、傍聴席からも笑いが起こりました。
 英語でのやり取りが理解できないので、これまでの海外での法廷傍聴ではガイドに同行して貰い説明を受けていましたが、単に言葉が分かるだけでは、裁判の内容や日本との裁判の違いなど突っ込んだ質問に対しては答えきれないところがあります。木本先生には、法廷傍聴にご一緒していただき、単なるガイドでは分からない弁護士の観点からのご説明を伺うことができ、大変参考になりました。その後の木本先生及び木佐先生を交えてのランチも、とても良い思い出になりました。
 今回の旅行を通じて、小澁先生や木本先生のような40歳前後の方が海外で非常にアグレッシブな生き方をされているのを拝見し、非常に頼もしく思いましたし、時代の変化を痛感しました。日本の弁護士業界も、年々競争が厳しくなっていますが、どの時代でも優秀な専門家は必要とされており、敢えて厳しい道を選択して、エネルギッシュに生きていらっしゃる姿は、私共に大変大きな刺激になりました。  

<大学訪問>
 法律事務所を訪問する途中で、西海岸にある大学も見学しました。
 Stanford University(スタンフォード大学)は、ここが大学かと見紛うばかりに、とにかく美しく、広い大学です。世界中でモスクワ大学に次いで2番目に広い大学との説明でした。広い芝生に雑草がまったく生えていないことからも、全米屈指の私立大学としての豊かな財力が窺われました。スペイン風の建築様式、大学のランドマークとなっているフーバータワー、フレスコ画、ロダンの彫刻の美術館等、その素晴らしさには圧倒されますが、夏休みであることに加え、とにかく余りに広大なため、学生の姿を見かけることはまれでした。
 

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          Hoover Tower (フーバータワー) 


 

                                                   

      
 ロダンの彫刻「カレーの市民」

                                                 


 University of California,Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)は、スタンフォード大学とは対照的な雰囲気で、学生の数がとても多く、何か混沌としている大学という印象でした。日本の大学で言えば、早稲田大学と雰囲気が似ています。キャンパスは丘の斜面に沿ってありました。いろいろな博物館があり、図書館も自由に入ることができました。ちょうどカーネーション革命の展示を行っていました。日系の教授も多いようです。



カリフォルニア大学バークレー校キャンパス風景
 
 

 

                                       Sather Tower (セイザータワー)


 UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)は、同じUniversity of Californiaでも、バークレー校と異なり、おしゃれな雰囲気を醸し出していました。寮が丘の上にあり、スポーツが盛んな大学のようで、夏休み中も練習をしている学生をあちらこちらで見ることができました。UCLA 、UCBerkeleyともに、東洋系の学生が多いことには驚きました。


UCLAのマスコット熊Bruin





 

 

 


 
 



投稿者 ソフィア法律事務所